
ただ困っていても困ってしまうので、分類学でソイがどう扱われていたか見てみよう。
京都大学の松原喜代松『魚類の形態と検索』(1955年)を見てみる。
太平洋産のメバル系魚類は、メバル属 Sebastodes(現在のメバル属はSebastesである)と、ソイ属 Sebastichthysの2群に分けられていた。もともとの古いメバル属は、風雲急を告げはじめる幕末の1861年にアメリカの魚類学者ギルによって設立され、ソイ属も同じギルによって1862年に設立されている。
2群に分けられてから、さまざまな議論が続いていたようだが、外部形態だけについて松原から抜粋してみよう。
いまのメバル属魚類が、それぞれ、どう分けられていたか抜き出してみよう。
松原は矛盾点をあげて2群に区別することは妥当ではないとしている。
ソイ属は消え、新しいメバル属になったのだが、ソイの原形の中に、この考え方も残っているように思える。この旧ソイ属に含まれるものが、広い意味でのソイというグループであり、旧メバル属に含まれるものが、広い意味でのメバルと、メヌケというグループであろうと思う。
松原がいうように、なかなか、ひとくくりにはできないのだけれど、両眼の間が狭くへこんでいて、両顎がそろっていて、頭の周りがごつごつしていれば、ソイだなあと感じるのである。
釣り人が「ソイ」なのだと感じる特徴をまとめておこう。
釣り人が「メバル」なのだと感じる特徴をまとめておこう。
それでは、なんとなくの「釣り人の感じ」をもとに、いま記載されている日本産メバル属33種を、グループ名としての「ソイ■□」「メバル●○」「メヌケ★☆」の三つに強引に分けてしまう。それぞれのグループの中で、黒マークは典型的であり、白マークはやや傾向があるというほどの意味である。
1 |
アラメヌケ | ★ |
Sebastes aleutianus |
2 |
アコウダイ | ★ |
Sebastes matsubarae |
3 |
アラスカメヌケ | ★ |
Sebastes alutus |
4 |
ウケグチメバル | ○ |
Sebastes scythropus |
5 |
カタボシアカメバル | ○ |
Sebastes kiyomatsui |
6 |
ハツメ | ○ |
Sebastes owstoni |
7 |
ヒレグロメヌケ | ★ |
Sebastes borealis |
8 |
バラメヌケ | ★ |
Sebastes baramenuke |
9 |
サンコウメヌケ | ★ |
Sebastes flammeus |
10 |
オオサガ | ★ |
Sebastes iracundus |
11 |
クロメヌケ | ○ |
Sebastes glaucus |
12 |
ナガメヌケ | ○ |
Sebastes variabilis |
13 |
ヤナギメバル | ○ |
Sebastes itinus |
14 |
ガヤモドキ | ○ |
Sebastes wakiyai |
15 |
アカガヤ | ○ |
Sebastes minor |
16 |
ヤナギノマイ | ● |
Sebastes steindachneri |
17 |
エゾメバル | ● |
Sebastes taczanowskii |
18 |
トゴットメバル | ● |
Sebastes joyneri |
19 |
ウスメバル | ● |
Sebastes thompsoni |
20 |
メバル | ● |
Sebastes inermis |
21 |
クロソイ | ■ |
Sebastes schlegeli |
22 |
タケノコメバル | □ |
Sebastes oblongus |
23 |
コウライキツネメバル | ■ |
Sebasles ijimae |
24 |
キツネメバル | ■ |
Sebastes vulpes |
25 |
タヌキメバル | ■ |
Sebastes zonatus |
26 |
ゴマソイ | ■ |
Sebastes nivosus |
27 |
シマゾイ | ■ |
Sebastes trivittatus |
28 |
コウライヨロイメバル | □ |
Sebastes longispinis |
29 |
ヨロイメバル | □ |
Sebastes hubbsi |
30 |
ムラソイ | ■ |
Sebastes pachycephalus pachycephalus |
31 |
ホシナシムラソイ | ■ |
Sebastes pachycephalus nigricans |
32 |
オウゴンムラソイ | ■ |
Sebastes pachycephalus nudus |
33 |
アカブチムラソイ | ■ |
Sebastes pachycephalus chalcogrammus |
フサカサゴ科を見るとき、尾鰭後縁の形状が、丸いか、まっすぐか、下顎が出ているか出ていないかというようなことが、印象として重要になるのだが、こういうことをキーにして、ひとくくりにすると、かなり例外がでてしまう。そういう意味で、これらの分け方にあまり意味はなく、あくまでも私見だと断っておく。
それならば、なぜ分けたのかと叱られそうだ。
いま、ソイは、ゆるい釣り人の感覚だと思う。この、ゆるい感覚を、はっきりとぼくらのものにしていって、新しい釣り文化という形にしていきたいと思っている。
そういう意味でいえば、ソイなど曖昧なままでよく、マゾイと、こだわる必要もないような気がするのだが、こだわりたがるのが釣り人である。
困った。
マゾイって、なに!?